Giz'Mo「惨めで情けなくとも」
「コロナ禍だから上手く行ってない」わけじゃない。
2015年頃から、少しずつ世の中の変化に追い付けなくなった気がする。
ボカロ系シンガーのブームが訪れて。
それっぽい曲を下さいと言われても、ボーカロイドに触ったことがなくて、それらしいメロディーは書けなかった。
そこからアニソンや声優さんブームに移り変わって。
声優さんの曲を幾つか担当したけれど、Jam9でアニメのタイアップを貰える可能性は無かった。
そしてコロナ禍で急速にストリーミング(聞き放題)の時代に切り替わって。
完全に取り残された。
急にグローバルチャートの海に放り投げられたって、通用するはずが無い。
何千万回、何億回とミュージックビデオが再生されてるアメリカと韓国のアーティストたちに、どう立ち向かえば良いのか分からなかった。
東京に行けなくなって、レコード会社の恩恵も途切れた。
ライブが出来なくなって、多くの人がJam9を忘れて行った。
会社が小さいから、背負えるリスクなんてJ'S DINERが精一杯だった。
存続の危機だった。
それを乗り越える方法は「自分たちのアップデート」以外に無かった。
メインストリームの音楽を徹底的に聞き、学び、作れる様にして。
何が今っぽいのか、どうすればJam9で消化吸収できるのかを必死で探って。
その結果「Jam9は変わってしまった」と言われる様になった。
変だな…
いつだって時代に合わせられるのが自分たちの強みだったはずなのに。
急に時代に合わせられなくなって。
何とか合わせられる様になったら、Jam9はそうじゃないと過去を押し付けられて。
疲れてしまった。
秋から冬にかけて、ちょうど2年目のJ'S DINER準備が終わったタイミングで、ちょっと燃え尽き気味になってしまっていた。
上手く行かないのはコロナ禍のせいなのか、それとも自分たちが限界なのか。
そんな事ばかり考えてた。
でも振り返って思えば、それは当たり前の歪みだった。
だって、仕事で音楽やってる自分たちでさえ追い付けない速さでシーンが移り変わってるんだもん。
この1ヶ月、考えた。
何のために「淘汰される側」から抜け出したいのか。
誰のために「続けたい」のか。
結局、Jam9を好きだと言ってくれる人に恥をかかせたくないのよ。
それがよく分かった1ヶ月だった。
今どれだけ惨めで情けなくとも、前に進もう。
そして必ず結果を掴もう。
負けるな自分。
Giz'Mo